2012年1月14日土曜日

忍耐も独立も棄て去って


忍耐も独立も棄て去って


太宰治の
人間失格を読んだ

まず主人公についてだが
彼は人間のことがよくわからないといふ

よくわからないとは
人間の吐く言葉が
あまりに実態と乖離する様に
彼の目には見えるからである

彼は
人々が対面しては媚び、裏で陰口をのたまうという
人々の有り様を理解できぬといふ

しかしまた彼は
それを人前で口に出すことはなく
笑わせ、与え、求め
人々の求めるところを振る舞ったようである





さて
彼に共感するところ、多く
しかし
この小説に描かれた彼ほど落ちぶれはしないだろうと思え
従って、自分の底を見たようで安心してゐる


ひるがえって自分の生活を省みて

退屈でよく分からない仕事や
適当なことばかり言う職場の人間関係に嫌気がさすようなことがあっても

かといって
自ら独立して業を起こす気概も準備もなく
業を起こす機会を前にしても怯み

あるいは
曖昧な夢を思い描いては
アルコールを投与して
人と戯れ朝を迎える

彼のような習慣が
生活を形成してゐる中にあって




人生を人として全うしたいとを望むなれば

人々の軋轢や理不尽と共存する
忍耐の心か

あるいは
その身をもって
社会を含む容赦無き大自然の恐怖に立ち向かう
独立の志か

そのどちらか一方は
備えなければならないようである


我儘の先に
忍耐も独立も棄て去って
行き着く先は人間失格と
そういうことらしい
( ̄ー ̄)オワリ

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